ENo.0044　お菓子の魔術師　ボル

「うーん！うるさいのだ…」
ボルは固い机の上から眠そうに頭を上げました。
なにやら机の上が賑やかです。
よく見ると昨日夜遅くまで作っていたお菓子が机の上で喋ったり踊ったりしています。
「ご主人様おきた！」
『『　おきた！　』』
お菓子たちは叫びます。
「なんなのだこれは！」
ボルは驚いて言葉もありません。
こんな事ははじめてです。
「ご主人様ー！」
『『　ご主人様ー！　』』
お菓子たちはとても楽しそうです。
お菓子たちは飴玉だったり、ケーキだったり、そういったいろいろなお菓子に手足と顔がついています。

ごーん！ごーん！
なんだか外も騒がしいです。
ボルが窓を開けてのぞき込むと、武器を持った犬たちがボル城の門を打ちつけています。
「ボルくんあーそーぼー！」
犬たちが叫んでいます。
お菓子たちもボルに乗って窓の外を眺めています。
「私はあの犬たちは知らないのだ！何なのだ！」
ボルはとても混乱しました。
「あの犬たちはきっと強盗さんですわ！悪い犬たちですわ！」
「わたくしがやっつけて参りますわ！」
ボルに乗っかっていたプリンのお姫様は突然そう叫ぶと、床にプルルンと降り立ち、体を左右に揺らしながら部屋を出ていきました。
「ま、待つのだ！危ないのだ！」
ボルは慌てて追いかけます。