ENo.0053　レグズェンブルグ・ハイデンリッヒ

香る紅茶と研究者 2頁
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　一週目が終わり、勇者は帰っていった頃。

　ワタシは実験の結果を見てご満悦――というわけでもなく、かといって不満気でもなく、微妙な顔をしてオリマシタ。

「……不死性のせいで、あまり効果がはっきりとわからないデスネ……」

　もちろん、一定以上の効果はあげてイマスシ、サンプルとして非常に重要な価値があるというのはワカリマス。しかし、期待しすぎていた部分があるからか、はたまた、そもそも勇者に対してあまりいい印象を持っていないからか、どうにも微妙な気持ちになるのデス。

　ただ、マァ、サンプルはサンプルデス。ワタシは周りの民草で手当たり次第に実験するというわけにも行かない立場デスから、そもそもの「人体」サンプルが貴重なのデス。

「……期待よりも効果は薄いデスが、マァ、よしとシマスカ」

　そういって向き直り、書類をトントン、と整えマス。サァ、次はドレを試しマショウカ。オット、大規模支援要請にひっかかっ……イエ、応えてくれた、同盟者にもお礼をしておかないといけマセンネ。

　ニコニコと笑いながら、ワタシは、来るべき時を待ちマシタ。紅茶工場も順調デス。次はどんな『勇者(ﾓﾙﾓｯﾄ)』が来るのデショウカ。

　願わくば、どうぞワタシの実験の成果が見られるような相手でアリマスようにと、ワタシは信仰する、『城塞を回す歯車』の神に祈りマシタ。